読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

LILIUM

趣味の記録保管庫

いまさら翼といわれても 後篇

Books

『小説野性時代』より

米澤穂信著『いまさら翼といわれても』の感想です

小説 野性時代 第147号 (KADOKAWA文芸MOOK 149)

小説 野性時代 第147号 (KADOKAWA文芸MOOK 149)

 

 ※ネタバレを含みます

 

さてふくちゃんに持ってきてもらった路線図と時刻表から千反田の居場所に検討をつけた奉太郎

 

段林さんには千反田が見つかったと嘘を吐き、横手さんと2人きりに

横手さんの言動から、千反田と2人で会場まで来たことが嘘であることを突き付けます

 

最初は否定する横手さんですが、千反田が来ないと困るのも事実

一緒にバスに乗車したものの、千反田が途中下車したことを白状しました

なんとこの横手さんは千反田の伯母にあたるそうで

横手さん所有の蔵は小さい頃から千反田の隠れ家だったそうです

 

時間もないのでその蔵へ向かう奉太郎

千反田と出会い、失踪理由も聞けました

 

前篇冒頭の父との会話は、千反田に跡継ぎにならなくていいから好きに生きろとのことでした

千反田は豪農千反田家の跡取り娘、一人娘として責任を持っていたし、それはある程度強制的なものであったかもしれないけれど不快ではなかったんだよね…

他人から見たら将来の選択肢がないようで可哀想に思う人もいるかもしれないけど、千反田は誇りを持っていたと思うよ

なのに突然自由を与えられてしまって、どうしたらいいかわからなくなってしまって

合唱のソロパート「ああ、願わくば我もまた、自由の空に生きんとて」なんて歌詞を、真面目な千反田は歌うことが出来なかったという

 

千反田が自嘲的に話すのはなんか辛いなぁ

いまさら(自由の)翼といわれても困るってことでこのタイトルだったわけね

 

 

最後の一撃的な(著者はそのつもりはないって言ってたけど)終わり方の多いシリーズだったので、人によっては拍子抜けかもしれない

私はシリーズの経過としては良かったのではないかと思います

長い休日に終わりがきている奉太郎、自由を与えられた千反田、ふたりの将来がどうなるのかっていう高校生らしい悩みに直面するかんじが好きだ

 

短編としてのインパクトは薄かったですが、シリーズを通して心情的に大きく動いたと思います